天空部族

……では、独り芝居を巡演している女性のお話をしましょう。

 2009年11月3日 14時〜(1回公演) ■ 柏崎エネルギーホール




  ……では、独り芝居を巡演している女性のお話をしましょう。

  小さなワンボックスカーに大道具や衣装や生活道具を積み込み
  たったひとりで各地を巡業してまわっている「マリィ」は、
  その日、とある山あいの小さな町にやってきました。
  ここが、とりあえずの巡業地です。

  さっそく、町役場の人に話をして、古い公民館を無料で借りて   
  芝居ができることになりました。
  マリィはさっそくラッパを吹いて太鼓を鳴らし、町中に宣伝して
  回りました。

 


   


 

もし、
今日、死のうと考えている人がいて、
その人がギルダさん、
あなたの歌を聞き、
あと一日生きてみようと思い直すことが
あったなら、あなたのした仕事は、
本当の仕事なのです。
あなたはこれからアフリカで、
きっと、それをなさるでしょう。

 



        


 

クラムボンは悲しい生物です。
なぜなら、クラムボンは笑うことと、
死ぬことしかできないからです。
クラムボンは、かぷかぷ笑います。
クラムボンは跳ねながら笑います。
クラムボンは小さな谷川の底にすんで
いますが、誰も見たものはいません。
なぜ、クラムボンが笑うのか、
なぜ、かぷかぷと笑うのか、
誰も知りません。
でも、クラムボンは、
かぷかぷと笑い、跳ねるのです。
クラムボンは、死にます。
クラムボンは殺されるのです。
なぜ、殺されるのか、
誰も知りません。

 

           



   ねえ、青木さん、青木さんはどうして青木さんが生まれてきたのか、分かりますか?
   他の誰でもない青木という人が。

   どうして私が生まれてきて、私は他の誰でもない私なのか。
 
   あのね、それは、青木さんや私は、永遠に生まれなかったかも知れなかったわけでしょ。
   たぶん、永遠に生まれてこないひとだっているんです。

   − あたし、どっちかの手の中に十円握ってます。当ててみてください −

   右手は、私が生まれなかった世界。  左手は私が生まれた世界。
   簡単でしょ、私や青木さんが、他の誰でもなく生まれてきた理由。
   人の生き方を決めるのは、何だか分からないけど、生まれた時に握っている切符があって
   もう行き先が記されてあるみたいな感じ。

  でも、途中下車はできる。   そんな感じ・・・・・。

 

このホームページに開催されている文章は、
すべて【出典】北村 想 作「マリィヴォロン」の脚本中より
抜粋して掲載させて頂きました。
なお、本公演は著作権法第38条第1項の規定に準拠しています。


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